私の作品は、古えの先人たちの漆工芸品を取り入れたものです、 奈良時代から安土桃山時代、江戸時代を経て昭和初期に至までの蒔絵工芸品には、目を見張るすばらしいものがあります。
 古い工芸品にある精密で堅実な技法に、少しでも近づけることができるように、日々努力しています。蒔絵を習い始めてから三十年、棗などの茶道具を多く制作しています、伝統的な良さを守りながら、蒔絵の制作を進めて行きたいと思っております。


推薦のことば
 私は、藤野氏を推すにあたり、氏の制作する作品もそうですが、仕事に挑む姿勢が好きです。蒔絵は、陶芸とは違い“炎”に頼るような事出来ません。仕上がりまで気が抜けず、塗りの工程数をはるかにしのぐ蒔絵もあります。その中でも、あえて手のかかる手法や、見えない所にも根気を入れようとする粘りは、その仕事に現れます。
 たとえば、棗の内側全面に描く繊細な忍草の描詰めを得意としたり、張りにくい曲面にも、必要ならば、螺鈿を割り貝処理を施し張りつけるなど。
 蒔絵から、彼の“粘り強い誠実さ”を感じるのです。

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